新型感染症の影響で、診察や通院が手控えられ、
病気の発見が遅れる、あるいは必要な治療を受けないなどのリスクが懸念されている。
「コロナ禍において、どのような健康不安を抱えているか」との問題意識のもと、
診察や通院の現状と、こころと身体について抱えている不安を調査しました。
設問「以前と比べて体調や気持ちの変化(不安など)がありますか?」への回答で、「先行きに不安を感じるようになった」が32.1%、「ストレスがたまりやすくなった」が31.3%。一方で「ない」との回答は26.5%にとどまりました。多くの選択肢で、男性と比較して女性の方が10ポイント程度数値が高く、女性の方が変化(不安など)を大きく感じている現状が浮き彫りになりました。
選択肢 | 男性 | 女性 | 合計 |
---|---|---|---|
先行きに不安を感じるようになった | 28.3% | 39.6% | 32.1% |
ストレスがたまりやすくなった | 27.6% | 38.7% | 31.3% |
体調や気持ちの変化はない | 30.4% | 18.4% | 26.5% |
太ってきた | 23.1% | 33.1% | 26.4% |
足腰が弱くなってきた | 25.7% | 24.6% | 25.3% |
気分が滅入るようになってきた | 18.4% | 29.7% | 22.1% |
疲れやすくなった | 15.4% | 25.9% | 18.9% |
精神的に不安定になった | 12.5% | 23.5% | 16.1% |
先行きへの不安やストレスが一部の人に溜まりやすくなっているにも関わらず、抱えている課題について、何らかの相談ができている人は約半数にとどまりました。体調や気持ちの変化を、個人の中で抱え込んでしまっている状況が懸念されます。
選択肢 | 件数 |
---|---|
特に何もしなかった | 1,525件(50.4%) |
家族に相談した | 584件(19.3%) |
医師や薬剤師など医療関係者に相談した | 517件(17.1%) |
自分で医療情報を探して調べた | 459件(15.2%) |
自分で薬やサプリ等を選んで服用するようになった | 370件(12.2%) |
友人に相談した | 258件(8.5%) |
その他 | 121件(4.0%) |
「日頃、あなたはご自身の健康や気になることを誰に最初に相談しますか?」の設問に対して、「家族または親族」との回答が最多の70.3%、次いで「かかりつけ医」が39.1%となりました。50代以上が多くを占める回答者の属性を考え合わせると、普段から通院する機会があり、医療者に相談をしている状況がうかがわれます。また、女性は「友人」との回答も比較的多く、一方で「相談しない」という人は10%程度にとどまりました。
選択肢 | 男性 | 女性 | 合計 |
---|---|---|---|
家族または親族 | 70.7% | 69.5% | 70.3% |
かかりつけ医 | 42.8% | 31.5% | 39.1% |
友人 | 8.2% | 23.4% | 13.2% |
相談しない | 9.3% | 12.9% | 10.5% |
産業医等 | 1.7% | 1.5% | 1.6% |
その他 | 1.0% | 1.3% | 1.1% |
なんらかの持病の定期受診(通院)をしている人の中で、「持病の定期受診(通院)を控えましたか」との設問に対し、「受診に行く回数が減った」「減っていたが最近は以前同様に通っている」が合わせて27.0%。一方、「ずっと変わらず通っている」は73%を占めた。感染症が拡大した中で、通院控えが一定割合にのぼることがうかがわれた。
「今年、健康診断はどうされましたか」との設問に対して「いったん延期したが、年度内に受けた(受ける予定)」が24%。「いったん延期。今後受けるかどうかは未定」が9.1%。計33%が健診を延期しました。「いつもどおりに受けた」という人は54.6%にとどまりました。
「自分やご家族が病院や医院に通院したり、検診を受けたりすることに不安を感じますか?」への回答では、「待合室などで感染しないか不安」が最多。「医師や職員からの感染」「行く道中での感染」「医療器具等からの感染」が続きました。一方、「特に不安は感じていない」との回答も全体の三分の一にとどまりました。
選択肢 | 件数 |
---|---|
待合室などで感染しないか不安 | 1,974件(63.7%) |
特に不安は感じていない | 978件(31.6%) |
医師や看護師等職員から感染しないか不安 | 655件(21.1%) |
通院や検診に行く道中で感染しないか不安 | 579件(18.7%) |
医療器具などから感染しないか不安 | 517件(16.7%) |
新型コロナに関係なく以前から医療機関に行くのは不安 | 255件(8.2%) |
「どのような医療機関や検診センターであれば安心して受診できますか?」への回答は「頻繁な消毒」が最多でした。これに「館内の全面的な抗菌・坑ウイルス仕様」「医師や職員の定期的な検査」が続きました。回答者の多くが、病院で感染するのではないかとの懸念を持っており、それが受診控えの一要因になっている可能性があります。この懸案の解決には、医療機関がどの様な感染対策をしているかを十分に周知する必要があります。
選択肢 | 件数 |
---|---|
頻繁な消毒を行っている | 1,702件(54.9%) |
館内全面的に抗菌、抗ウイルス仕様 | 1,451件(46.8%) |
医師や看護師等職員が定期的に検査を受けている | 1,315件(42.4%) |
公共交通機関を利用せず行くことができる | 905件(29.2%) |
通常の衛生対策の範囲で十分 | 688件(22.2%) |
「健康のことを相談できない(しにくい)場合はどのようにしていますか?」との設問に対し、実に92.4%が「インターネットで調べる」と回答しました。また、「以下に挙げるような方法で専門の医師(医療従事者)に自分の体調や気持ちの変化に関して相談ができるなら利用してみたいと思いますか?」との設問に対しては、「メールや問い合わせフォーム」を選んだ人が48.2%。「直接顔を合わせての面談」の 33.1%を上回りました。自分自身の健康について、調べ物はまずインターネットで行い、もし相談先があるならメールや問い合わせフォームといった手段が受け入れられやすいようです。
選択肢 | 件数 |
---|---|
インターネットで調べる | 2,852件(92.4%) |
本を探して読む | 661件(21.4%) |
健康アプリ等で調べる | 327件(10.6%) |
(相談ではなく他人事のようなふりをして)知り合いに聞く | 183件(5.9%) |
特に何もしない | 163件(5.3%) |
ネット掲示板、SNS等で匿名で聞く | 118件(3.8%) |
新聞や雑誌の健康コラム等に質問を投稿する | 54件(1.7%) |
選択肢 | 件数 |
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メールや問い合わせフォーム | 1,495件(48.2%) |
直接顔を合わせての面談 | 1,026件(33.1%) |
オンラインでの遠隔面談 | 830件(26.8%) |
利用してみたいと思うものはない | 718件(23.2%) |
電話での相談 | 575件(18.5%) |
その他 | 22件(0.7%) |