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CASE STUDY 02

コロナ こころと身体の健康調査

コロナ禍で「先行きに不安を感じるようになった」、女性40%、男性29%

大阪病院 × 産経新聞2020年11月共同実施

新型感染症の影響で、診察や通院が手控えられ、
病気の発見が遅れる、あるいは必要な治療を受けないなどのリスクが懸念されている。
「コロナ禍において、どのような健康不安を抱えているか」との問題意識のもと、
診察や通院の現状と、こころと身体について抱えている不安を調査しました。

実施期間
9日間
2020年11月3日~11日
告知場所
  • WEB産経ニュース
  • 産経iDメルマガ、Webサイト
実施件数
3,118サンプル
年齢別分布
  • 20代まで1.4%
  • 30代3.6%
  • 40代11.2%
  • 50代25.8%
  • 60代30.9%
  • 70代以降27.1%
男女比率
  • 男性67.2%
  • 女性32.8%
DATA
01
「先行きが見えないストレス」が深刻化する中、
男女間で感じ方に違いが。

設問「以前と比べて体調や気持ちの変化(不安など)がありますか?」への回答で、「先行きに不安を感じるようになった」が32.1%「ストレスがたまりやすくなった」が31.3%。一方で「ない」との回答は26.5%にとどまりました。多くの選択肢で、男性と比較して女性の方が10ポイント程度数値が高く、女性の方が変化(不安など)を大きく感じている現状が浮き彫りになりました。

設問新型コロナウイルス感染症拡大に伴い行動制限を強いられていますが、以前と比べて体調や気持ちの変化(不安など)がありますか?複数回答
  • 合計
  • 男性
  • 女性
選択肢 男性 女性 合計
先行きに不安を感じるようになった 28.3% 39.6% 32.1%
ストレスがたまりやすくなった 27.6% 38.7% 31.3%
体調や気持ちの変化はない 30.4% 18.4% 26.5%
太ってきた 23.1% 33.1% 26.4%
足腰が弱くなってきた 25.7% 24.6% 25.3%
気分が滅入るようになってきた 18.4% 29.7% 22.1%
疲れやすくなった 15.4% 25.9% 18.9%
精神的に不安定になった 12.5% 23.5% 16.1%
DATA
02
「体調の変化や不安、気持ちの変化」に対して、
「特に何もしなかった」人が半数。

先行きへの不安やストレスが一部の人に溜まりやすくなっているにも関わらず、抱えている課題について、何らかの相談ができている人は約半数にとどまりました。体調や気持ちの変化を、個人の中で抱え込んでしまっている状況が懸念されます。

設問体調の変化や不安、気持ちの変化に対して、どう対処されていますか?複数回答
選択肢 件数
特に何もしなかった 1,525件(50.4%)
家族に相談した 584件(19.3%)
医師や薬剤師など医療関係者に相談した 517件(17.1%)
自分で医療情報を探して調べた 459件(15.2%)
自分で薬やサプリ等を選んで服用するようになった 370件(12.2%)
友人に相談した 258件(8.5%)
その他 121件(4.0%)
DATA
03
日頃、健康について相談する相手はまず家族、
そして「かかりつけ医」

「日頃、あなたはご自身の健康や気になることを誰に最初に相談しますか?」の設問に対して、「家族または親族」との回答が最多の70.3%、次いで「かかりつけ医」が39.1%となりました。50代以上が多くを占める回答者の属性を考え合わせると、普段から通院する機会があり、医療者に相談をしている状況がうかがわれます。また、女性は「友人」との回答も比較的多く、一方で「相談しない」という人は10%程度にとどまりました。

設問日頃、あなたはご自身の健康や気になることを誰に最初に相談しますか?複数回答
  • 合計
  • 男性
  • 女性
選択肢 男性 女性 合計
家族または親族 70.7% 69.5% 70.3%
かかりつけ医 42.8% 31.5% 39.1%
友人 8.2% 23.4% 13.2%
相談しない 9.3% 12.9% 10.5%
産業医等 1.7% 1.5% 1.6%
その他 1.0% 1.3% 1.1%
DATA
04
「持病の定期受診(通院)」について、
「受診を控えた(控えていた)」 27%

なんらかの持病の定期受診(通院)をしている人の中で、「持病の定期受診(通院)を控えましたか」との設問に対し、「受診に行く回数が減った」「減っていたが最近は以前同様に通っている」が合わせて27.0%。一方、「ずっと変わらず通っている」は73%を占めた。感染症が拡大した中で、通院控えが一定割合にのぼることがうかがわれた。

設問新型コロナウイルス感染症拡大に伴い。持病の定期受診(通院)を控えましたか?
  • 14%
  • 13%
  • 73%
  • 受診にいく回数が減った
  • 減っていたが最近は以前同様に通っている
  • ずっと変わらず通っている
DATA
05
通院や健康診断は控える傾向に。
医療機関での感染に潜在的な不安が。

「今年、健康診断はどうされましたか」との設問に対して「いったん延期したが、年度内に受けた(受ける予定)」が24%。「いったん延期。今後受けるかどうかは未定」が9.1%。計33%が健診を延期しました。「いつもどおりに受けた」という人は54.6%にとどまりました。

設問今年はコロナが流行しています。今年「健康診断」はどうされましたか?
  • 1,686件54.6%
  • 739件23.9%
  • 332件10.8%
  • 282件9.1%
  • 49件1.6%
  • いつもどおりに受けた
  • いったん延期したが年度内に受けた(受ける予定)
  • コロナの流行とは関わりなくそもそも受けていない(受けない)
  • いったん延期した。今後受けるかどうかは未定
  • その他

「自分やご家族が病院や医院に通院したり、検診を受けたりすることに不安を感じますか?」への回答では、「待合室などで感染しないか不安」が最多。「医師や職員からの感染」「行く道中での感染」「医療器具等からの感染」が続きました。一方、「特に不安は感じていない」との回答も全体の三分の一にとどまりました。

設問新型コロナウイルス感染症が拡⼤している中で、自分やご家族が病院や医院に通院したり、検診を受けたりすることに不安を感じますか?複数回答
選択肢 件数
待合室などで感染しないか不安 1,974件(63.7%)
特に不安は感じていない 978件(31.6%)
医師や看護師等職員から感染しないか不安 655件(21.1%)
通院や検診に行く道中で感染しないか不安 579件(18.7%)
医療器具などから感染しないか不安 517件(16.7%)
新型コロナに関係なく以前から医療機関に行くのは不安 255件(8.2%)
DATA
06
安心して受診するために医療機関に求めるもの

「どのような医療機関や検診センターであれば安心して受診できますか?」への回答は「頻繁な消毒」が最多でした。これに「館内の全面的な抗菌・坑ウイルス仕様」「医師や職員の定期的な検査」が続きました。回答者の多くが、病院で感染するのではないかとの懸念を持っており、それが受診控えの一要因になっている可能性があります。この懸案の解決には、医療機関がどの様な感染対策をしているかを十分に周知する必要があります。

設問どのような医療機関や検診センターであれば安心して受診できますか?複数回答
選択肢 件数
頻繁な消毒を行っている 1,702件(54.9%)
館内全面的に抗菌、抗ウイルス仕様 1,451件(46.8%)
医師や看護師等職員が定期的に検査を受けている 1,315件(42.4%)
公共交通機関を利用せず行くことができる 905件(29.2%)
通常の衛生対策の範囲で十分 688件(22.2%)
DATA
07
健康に関する相談に行けない場合、
代わりにどのような方法がよいか。

「健康のことを相談できない(しにくい)場合はどのようにしていますか?」との設問に対し、実に92.4%が「インターネットで調べる」と回答しました。また、「以下に挙げるような方法で専門の医師(医療従事者)に自分の体調や気持ちの変化に関して相談ができるなら利用してみたいと思いますか?」との設問に対しては、「メールや問い合わせフォーム」を選んだ人が48.2%。「直接顔を合わせての面談」の 33.1%を上回りました。自分自身の健康について、調べ物はまずインターネットで行い、もし相談先があるならメールや問い合わせフォームといった手段が受け入れられやすいようです。

設問健康のことを相談できない(しにいくい)場合にはどうしていますか?複数回答
選択肢 件数
インターネットで調べる 2,852件(92.4%)
本を探して読む 661件(21.4%)
健康アプリ等で調べる 327件(10.6%)
(相談ではなく他人事のようなふりをして)知り合いに聞く 183件(5.9%)
特に何もしない 163件(5.3%)
ネット掲示板、SNS等で匿名で聞く 118件(3.8%)
新聞や雑誌の健康コラム等に質問を投稿する 54件(1.7%)
設問以下に挙げるような方法で専門の医師(医療従事者)に自分の体調や気持ちの変化に関して相談ができるなら利用してみたいと思いますか?複数回答
選択肢 件数
メールや問い合わせフォーム 1,495件(48.2%)
直接顔を合わせての面談 1,026件(33.1%)
オンラインでの遠隔面談 830件(26.8%)
利用してみたいと思うものはない 718件(23.2%)
電話での相談 575件(18.5%)
その他 22件(0.7%)
調査全体を監修した、
独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院・西田俊朗 院長のコメント
コロナ禍において二極化する考え方や反応。
医療機関の適正な利用の周知が必要では。
独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院
西田俊朗 院長
今回は短期間の調査でしたが、幅広い地域や世代の方が、多くの設問や記述式の自由回答に至るまで、丁寧に回答してくださいました。いかに皆さんの関心が高く、コロナの流行でこころや身体に課題感や不安を抱えているかが伺えました。このアンケートからは、コロナの流行で先が見えない中、仕事や生活様式が大きく変化し、不安やストレスをため込んでいる状況が見えてきました。また同時に、行動制限や体調・気持ちの変化に対する考え方や反応が、個々によってPositiveな方向とNegativeな方向の両方に二極化していることも分かりました。

医療機関の受診に際しては、かなりの人が感染への不安から、受診を控えているようです。しかし、コロナだけが病気ではありません。大阪病院で診ていると、最近、コロナ以外の病気で病状が非常に悪くなって緊急受診をする人が増えています。その様な状況では、治せる病気も治せなくなります。ぜひ、医療機関を適正に利用して頂きたいと思います。
監修
独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院 西田俊朗 院長

兵庫県出身。1981年大阪大学医学部卒業後、関連病院で研修。1990年米国タフツ大学へ留学。1994年より大阪大学にて勤務し、2002年同大学医学系研究科講師、後に同大学医学部附属病院教授。2009年より大阪警察病院外科系統括部長・副院長などを務める。2013年国立がん研究センター東病院 病院長、2016年より同センター中央病院 病院長を歴任し、2020年4月より現職。専門は消化器外科で胃がん、GIST。
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